だから

Bさんは20年前、20歳代でカルフォルニアに住んで仕事をしていました。食べ歩きが好きだったのでアメリカにいる間に、60㎏台だった体重が100㎏を越えてしまいました。

ダイエットをして、30歳過ぎで帰国時には80㎏代でした。ところが日本でも食に関係した仕事を任されたので、フランス料理やイタリア料理と高カロリー食材を食べます。本当はお蕎麦が好物でしたが。

「仕事がある限りは食べなきゃいけない」

責任があるので、コロナ禍になっても仕事は忙しく帰宅は深夜でした。

昨年の今頃です。銀座の街路樹が紅く変わり始めた頃、胸が痛い訴えで銀座四丁目診療所を受診されました。心臓は何も異常はありませんでしたが、いくつもの生活習慣病を健診で指摘されてそのままにしていたのでした。仕事が忙しくて、受診できなかった、多くの方がそうです。

睡眠時にいびきが大きく呼吸がとまる病気もわかりました。60分に45回呼吸が止まっていたのです。ずっと眠りが浅く、朝起きた時に頭が重たかったのです。しかし、唯一の治療が、毎晩、顔にマスクを着けて機械につないで寝る、というものです。どなたも着けたくはありません。

Bさんは、みるみる瘦せてこられました。毎月1-2㎏、体脂肪1%弱ずつです。

仕事のかき入れ時の年末年始を越えて、1年弱で10㎏以上痩せました。睡眠時のマスクをする治療は終了できました。血液検査の数値は正常になってきました。

「3食食べていたのを、昼を軽く、夜は寝る前だから軽く。自然に食べる量が減ったかな、ワイン半分飲んでたのもやめました」
「忙しくて時間は取れないから、通勤を自転車で片道45分。休みの日には遠くまで1時間半くらい」
「水泳や走るのは長続きしなかった。自転車は好きだからできる」
「食べるのは仕事のうち。だから。運動量を増やした」

Bさんの、寡黙ながら生活習慣を実行された努力は、とても私にはできません。