娘の人形焼き

Kさんのお母さまが急に亡くなったのは3年前の秋でした。お母様は同じ敷地に住まれていてお孫さんをよくみてくれていました。それは、6歳と5歳のお子さんを遺して当時30歳代で奥様が亡くなっていたからでした。

IT系の技術者のKさんは20代から24時間ポケベルを持つほど多忙でした。奥様に先立たれた40代から次第に生活習慣病になっていました。IT系講師として出張が多く、寝ているときも緊張がとれずにいます。

朝はお砂糖をたくさん入れた紅茶。昼も抜いたり。夜をいっぱい食べます。糖尿病にもなっていました。

コロナ禍になりました。テレワークでオンラインの需要が増え全国に講師として出張されます。出張だと2週間歩きません外食ばかり。これが続きます。

仕事は楽しいので一年後に国際資格の試験を2つ受けました。2か月間仕事も一日も休みがないほど忙しく、過労のためにめまいが2-3か月続くほどでした。そして、体重もMAX になっていました。

Kさんは生活を変えました。家にフィットネスバイクを買い一時間乗り始めました。テレワークの会議の最中にも乗るそうです。さらに毎朝近所を散歩します。静かな住宅街を1万歩。
「エネルギーが貯まっていたかもしれない。運動すると達成感があります」

朝は鯖缶と納豆とトマト。その後にパンを少し。夜を9PM以降に食べないようにしたので朝は空腹なのです。更にトレーナ―と話して朝スム-ジ―だけのプチ断食にも挑戦しました。

1年半で8㎏減量。体脂肪4%減少。好物の甘いものや食べたいものは時どき食べます。
「めちゃくちゃに頑張らず、がんばりました」

今年就職して寮に入った娘さん、一つ上の軽い障害のある息子さんも就職され、休みの日などは皆が帰ってきて食事をします。実は娘さんとは16歳から21歳までメールでしか連絡のとれない時期がありました。Kさんは様々なことを想い大学の通信性の哲学科にも通っていました。
「人生のことで悩むより、悩みは自分だけではないと思い勉強しようと」

「痩せようとしたのは、娘から痩せて、と言われてて」
「痩せたらこの前娘がお土産に人形焼きを買ってきてくれて」

お父さんの愛情をお嬢さんは今は分かり、健康になってほしいと想い天国のお母さんと一緒にこれからもKさんを守ってくれることでしょう。