願いごと

Sさんのお父さんは三陸の港町であわびやウニを採っていました。家では料理の得意な父の妹がシュークリームや
ホールケーキを何十個も作り、習って小学生の時から自分でお菓子を作っていました。つまりカロリーの高い美味しい食べ物がいつもあり、お腹いっぱい食べていたのです。

気が付いたら肥満でした。100㎏を超えました。23歳から糖尿病になり治療になりました。そこでご主人と一緒にダイエット開始です。お仕事を辞めて家にいるSさん。ご主人もコロナ禍になりリモートワークでいつも家にいます。外に出ないで、3食とデザートのプリンやケーキ、間食のお菓子も手作りで低糖質です。朝はスムージ、昼食夕食も野菜中心で。家でマシーン。ストレッチや腹筋。順調でした。

ところが2年経ち、ご主人がこの先もリモートで都心への通勤がなくなるので、遠くの自然の多い市に引っ越しました。歩かなくなりました。どこへ行くにも車です。

さらに、Sさんは手芸が大好きで、フラワーアレンジメントはクリスマスやお正月には受注されお教室をはじめました。近所のお子さんたちが遊びに来るので作っていたケーキを、自宅で作ってお分けするようになりました。アフタヌーンティーに近所の方が集まってこられるのでお菓子を作ります。
これは喜んでくださる方たちへの気持ちからですが結局は、甘い食物に囲まれる日々、体を動かさない日々になったのです。糖尿病は悪くなりました。

その頃でした。Sさんの家に元気なワンちゃんが来ました。朝は7時から30分、夕はご主人と一緒に30分そのあと二人だけで10分の散歩を毎日朝夕。週末は10000歩。時にはワンちゃんと一緒に泊まれるところで一緒に走ります。お客さんには作りますが自分たちのデザートは作らず故郷のリンゴだけ。白米は測って100gずつ、野菜先で沢山、豆腐納豆と野菜スープも沢山。外食せず毎日3食をご主人にも作っています。

現在までずっと続けました。体重は30㎏減量。糖尿病の数値も改善して安定しました。

お若いのにご主人と周りの方たちに毎日尽くされるSさんが不思議でしたが、Sさんは言われました。
「私は願いごとが叶ったので。主人が一緒に家にいて仕事をしてくれるのが願いだったので」
「できたら子供がほしいので」

今までリバウンドなく痩せ続けそして病気がよくなっていっているSさん。知らない人が一見したらまだ肥満かもしれませんが、他の人の誰もそんな言葉は言えないと思うのです。ご本人が未来の希望を持って、どれほどコツコツと努力をしているか、私は頭が下がります。