どんなときも

N子さんは都心の役所で福祉士の資格を活かしてバリバリ深夜まで働いていました。もともとお酒が強い家系。仕事も飲み会も男の人に引けを取りません。家族の料理も手を抜きません。ロールモデルのような働く女性です。定年を目前に、落ち込んだ時期も乗り越え、無事働き終えてほっとしていました。

そんなとき、肝臓と蛋白や血球の値が急に悪くなりました。総合病院に紹介するとお酒が原因の肝臓病がかなり悪化してしまったのです。

定年は60歳。若々しいN子さんは家事や母親の介護をしても、まだエネルギーが溢れています。若い頃も大酒でしたし酔わないので飲めます。煙草も。家にいるとつい毎食後や午後3時に甘いものを食べます。シュークリームとかアイス。
そうして、太りました。悪化した原因でした。

N子さんは煙草を止めました。お酒もきっぱりやめました。毎日買い物ついでに2ー3時間は歩くようにしました。

朝は好きなパンと紅茶。昼は外食や余り物を普通に。夕食は白米を3口以内で野菜一杯。おかずはお魚やお豆腐中心。和食が得意で一人息子さんとご主人に2食を手作り。外食はしません。

2年後には体重が11㎏減少体脂肪が6%減少。糖尿病の値は正常範囲になりました。肝臓病の数値はひとつは5分の1になり、ほぼ正常近くで安定しています。

去年の暮れからは、保育士の免許があったので、午後から8PMまで保育園で働いています。みんなの嫌がるトイレの消毒や掃除後、1-2歳の子と遊びます。
「お掃除も、子供と遊ぶのも、みんな楽しいんです」
「汗がいっぱいでます。どんなときも私が楽しまないと」

実は4月にひとり息子さんが倒れました。難病がわかりました。
N子さんは、息子さんが自立できるよう見守り、今まで通り美味しい身体にいい食事を作っています。
「私ができることを、どんなときも楽しんで」

今もひと月に1㎏ずつ体重が減り、力強く若々しく働くN子さんに頭が下がります。