忘れられない患者さん

ショートケーキ 忘れられない患者さん

ショートケーキ

私が幼い頃まで、実家の病院には結核の患者さんが石垣の塀で囲まれたなかで入院生活をされていました。 お母さんと一緒に生活していた同じ年頃の男の子と、よく庭でかくれんぼをしました。 色の白い優しいお姉さんとは、病室と塀の間に咲くおしろい花を摘みました。丸い実を割ると白いおしろいのようなものがあり、お姉さ…
光りに包まれて 忘れられない患者さん

光りに包まれて

忘れられない患者さんがいます。 今から20年以上前です。 私はある病院で重症のホームレスの方を診ていました。戦後、結核にかかった子供たちのために建てられた病院に、ホームレスの方のための収益無しの五十人の病棟があったのです。入院された方は五日間は毎日身体を洗っても汚れと臭いが取れません。自力で歩ける方…
さようなら 忘れられない患者さん

さようなら

那須の友人が雲の写真を送ってくれました。何に見える?と聞かれ、とっさに「ぎょうざ」というと「座布団1枚」と返してくれました。宇都宮だから? 20年以上前に数年間、私は宇都宮に住んでいました。そのとき、とちぎYMCAでボランティアをしていました。 栃木ホスピス運動をすすめる会、という1987年にできた…
夕暮れに 忘れられない患者さん

夕暮れに

今世界中で、感染症が拡大し続けています。 医療は感染症との闘いの歴史でした。 私の父は、抗生物質ができる前に骨髄炎になり、身体障害者になりました。 そして私が幼い頃、父は医者として結核の病院をつくり患者さんを診ながら鳩の糞から薬を研究していました。私は近所の子に「うつるから近寄るな」と言われたもので…