睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に呼吸が一時的に停止したり低呼吸になってしまう疾患です。肥満や喉・顎の骨格的な形状などが関与して、喉の空気の通り道が塞がっていくことが主な原因です。
- 種類は上記のタイプを閉塞型と呼び、そのほか中枢性(脳の病気によっておこる)、両者の混合などがありますがほとんどが閉塞型です。
このような症状が見られたら要注意
- いびきがうるさい(家族などから指摘された)
- 日中に強い眠気がある(寝落ちがある)
- 起床時に体が重い(疲れが抜けていない)
- 起床時に頭が重い、痛い
- 起床時に血圧が高い
- 熟睡感がない
- 夜中に異常な体動がある
- 夜中に何度もトイレに行く
- 集中力や記憶力が低下した
- など
睡眠時無呼吸症候群を放置しない
- 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分かれ、レム睡眠は夢を見る睡眠といわれています。ノンレム睡眠は4つのステージわかれ、3.4のステージは深い睡眠で、1、2のステージは浅い睡眠状態です。睡眠時無呼吸の人は、深い睡眠状態にいたりません。このために、日中に眠気をもようし、仕事の効率が低下します。CPAPを装着すると、深い眠りとともに、レム睡眠も増加します(レムリバウンド)。熟眠感がでて、今までにない朝のスッキリ感を感じられるでしょう。
- 睡眠時無呼吸症候群をきちんと治療しないと、高血圧や糖尿病、不整脈などの心疾患、脳卒中などのリスクが増加していき、最悪のときは突然死を招くこともあります。また、昼間の激しい突然の眠気や集中力の低下によって、自動車の運転中に交通事故を引き起こしてしまうことなどをあげると、危険があります。
- 中等症以上の睡眠時無呼吸症候群を長期にわたって放置すると死亡率が大幅に増加するともいわれています。適切な治療を行えば健康な人とほとんど生存率が変わらなくなる可能性がありますので、家族や友人から、睡眠中の大きないびきや呼吸が一時的に止まってる、と言われる方は一度受診をされてください。
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
- 上述の睡眠時無呼吸症候群の症状がみられた方には、簡易検査をお勧めしております。睡眠時無呼吸症候群の診断、および症状の程度を測定するための検査です。当院からお貸し出しした専用機器を使って、ご自宅で検査を行っていただき、当院でデータ解析をいたします。
- この医療機器の使い方は難しくありません。口と鼻にカニウレ型、および胸にボタン型の小さい呼吸センサーを、血中酸素濃度を調べる医療機器を指先にそれぞれ取り付けて一晩ご就寝いただき、当院で解析ソフトにて解析結果がでます。時間当たりに10秒以上の無呼吸が何回生じるか、血中酸素濃度の低下が起こっているかどうかを調べます。
- 10秒以上の気流停止(呼吸センサーで察知した気道での空気の流れが止まった状態)を無呼吸、弱いものを低呼吸とします。この無呼吸と低呼吸が睡眠中(7時間)に30回以上、または1時間につき5回以上みられれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。{軽症:5回から15回未満、中等症:15回から30回未満、重症:30回以上}
睡眠時無呼吸症候群の治療
CPAP療法 マウスピース 生活習慣の改善
CPAP療法
CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、鼻に装着したマスクから加圧した空気を送り込むことによって、ある一定の圧力を気道にかけ、気道の狭い状態を拡げて無呼吸を防ぐ治療法です。中等症から重症の方には第一選択です。とても効果的で、ほとんどの患者様は、この治療を行ったその日からいびきをかかなくなり、朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。睡眠時無呼吸症候群の最も重要な治療法として、欧米や日本で広く普及しています。
生活習慣の改善
睡眠時無呼吸症候群の治療では、生活習慣の改善も重要となります。肥満の方は減量のために食事を腹八分目に抑え、適度な運動を心掛けます。お酒は筋肉を弛緩させ、気道の閉塞をさらに悪化させる可能性があるので、特に寝る直前に飲酒することは悪影響です。睡眠薬に関しては、筋弛緩作用をもつタイプのものがありますので、ご相談しましょう。この他、枕が高過ぎると下顎が沈み、上気道が塞がりやすくなるので、自分に合った高さの枕を使い、仰臥位で眠るときも同様のことが起きますので横臥位や、やや伏臥位に近いものをお勧めします。
★私が、1988年から1990年末にかけて、米国ボストンのべス・イスラエル病院の睡眠時無呼吸外来で臨床研修していた時の治療法がCPAP療法でした。20年経って全く同じ治療法が第一選択のままの病気はほかにないでしょう。診断方法も病気の基本病態も20年前の米国とほとんど変わっていません。この事実は、医療の診断・治療の著しい進歩の中で非常に珍しい病気だと思います。それだけこのCPAP治療法が有効であるということだとも考えています。当診療所にどうぞご相談ください。