とんかつ

東京に初めて移り住んだとき、土がないのに驚きました。
公園の多い都内のはずれを選び、土のある住まいを探しました。狭いながら冬は椿や牡丹の花が咲き、鶯の鳴き声がしました。

最寄りの私鉄の駅まで20分歩きます。30年前当時の新しい駅ビルが建ちました。
駅ビルに珍しいとんかつ茶漬けのお店ができました。

聖路加病院に夜中に呼ばれることがとても多かった私は、夜中に娘に手紙を書いて出勤していました。話をゆっくり聞いてあげられるのは日曜のお昼くらいでした。

日曜に駅ビルで一緒に外食をします。決まってとんかつ茶漬けのお店でした。娘たちはそのひとときははしゃいで私にたくさん話をしました。

そのときの生姜醤油がかかったとんかつの味は、揚げ物を控えている今でも、私には特別に美味しく感じます。
(このお店はコロナ禍で昨年冬閉店していました)