83歳の父から

体重が100㎏ある55歳のS子さんは、10年前は60㎏でした。
10歳代はハンドボール、社会人ではフットサルをしていたスポーツ好きでした。

ところが50歳頃、更年期に入り太ってきて、走るときに膝が痛いと思ったら、80㎏になっていました。慌てたS子さんは、流行りの急激に痩せる会に入り、数か月で60㎏に戻しました。ここまでは体調も良かったのです。

しかし、気付いたら80㎏に元通りでした。そして体重が増え続けるのが止まりません。

2年前に、受診されたときは、めまい、動悸、胸痛などの症状で、生活習慣病が幾つもみつかりました。

すぐにコロナ禍になりました。独身で遅刻欠勤をしたこともないS子さんは、時差通勤で朝6時には電車に乗ります。夜遅く帰宅し家と仕事場の往復でへとへとでした。夕食も2食、甘いプリン、しょっぱいおせんべい、この繰り返しを眠るまでします。休みの日は外に出ずに過ごし、2-3人分食べました。
体重は増え続けます。

ところが、100㎏を越えたころから、少しずつ変わりました。

夕食は1つだけになり、食後甘いもの1個になり、週の半分だけになりました。野菜を先に、お菓子一袋は3日かけて、など一歩一歩。努力の積み重ねです。

体重は月に2㎏ずつ減ってきました。そのペースで今も瘦せ続けています。

「会社で他の人にイライラしてたのが無くなりました。」「夜食べたあとそのままだったのが、寝る前に洗うと気持ちいいので綺麗になりました」
「今まではインコに愚痴を言ってたのが、なくなりました」

「毎週末、83歳の父から電話がかかって嫌で嫌でずっと電話にでてなかったんです。今は電話にでて、瘦せたよ、って言うと “そうかあ” って」

生活習慣病が改善し始めたとともに、何よりも、S子さんは親孝行ができたのでした。